[HRP: horseradish peroxidase; HRP-based tracer]
西洋ワサビ過酸化酵素。西洋ワサビペルオキシダーゼ。
ペルオキシダーゼの一。
最も一般的な逆行性トレーサーで、神経回路標識法でシグナルの増強にも利用される。
【分類】
・free HRP
・HRP結合トレーサー(発色にHRP組織化学を用いる)
【特徴】
・順行性トレーサーでもある
ただしその証明には高感度のTMB法によらなければならない
・いろいろな有機化合物が電子供与体や受容体として働く
活性部位が酵素の外から近づきやすい場所にあるため
・免疫染色
テトラメチルベンジジンなどの色素前駆体を分解させて着色検出
・分子量も小さいため、抗体に結合させて利用可能
・HRP発色法
・DAB法(褐色)半永久標本
・DAB増感法(コバルト・ニッケル。黒色)半永久標本
・TMB法(紫色)
非常に高感度だが反応産物の消退早く電顕包埋の操作にも耐えない
安定化可能(Llwellyn-Smith,1992)
・ニトロプルシッド
・タングステン酸
・Tris-aminophenylmethane (TAMP) と p-cresol(赤色)
(Kaneko,1994)
◆長所
・蒸留水に溶解して適当量に分注した溶液は凍結保存が可能
・反応産物は通常の光学顕微鏡で明視野観察可能
・退色しにくい
・オスミウム酸により電子密度が上がるため電顕観察可能
◆欠点
・感度が低い
・細胞毒性が高く発生の研究に使いにくい
・細胞体のライソゾームにより消化・分解される
(注入後生存期間は数日以内)
long survival experiment には不適当
・発色のために化学固定する必要
【利用される理由】
・初めてperoxidase (PO)結晶化されたのはhorse-radishから
・POは植物ではメジャーだが動物では白血球など限られた細胞のみ
動物由来は実用的でない
・糖鎖、鉄イオンなどが構造に含まれる
リコンビナントを微生物で大量発現して活性のあるものをとるのは難しい
ただし、精製したPOを改変したものいろいろあるらしい
安定性を高める修飾
活性に関係のない部分を切り離して小さくしたもの(浸透性が向上)
2010/11/19 masashi tanaka