HSV
関連概念 : 実験法

[HSV: herpes simplex virus]

単純ヘルペスウイルス。ヒトヘルペスウイルス。
ヘルペスウイルスの一。

【分類】

 ◆HSV-1 (Herpes simplex virus type 1; HHV-1: human herpesvirus-1)
   主に口唇ヘルペス・ヘルペス口内炎・ヘルペス角膜炎・単純ヘルペス脳炎
   三叉神経節に潜伏感染
   頭頸部や中枢神経系の他、肺や肝臓で感染症を引き起こすことも
   越シナプス逆行性
 ◆HSV-2 (Herpes simplex virus type 2; HHV-2: human herpesvirus-2)
   主に性器ヘルペス、新生児ヘルペス、ヘルペス髄膜炎、ヘルペス脊髄炎
   仙髄の脊髄神経節に潜伏感染

【特徴】

 ◆ベクター
  長い配列を挿入可能(<100kb; <12kb without affecting titer)
  ○McGovern vector core (MIT)
   複製できない
   $200/30µL or $1250/400µL with 3e8 transducing units/mL
   (cloning $500) (2016/6/13)
   ・short term HSV (ST HSV)
     IE2/5 and/or mCMV promoter (1e9 infectious units/mL)
     数時間で発現が始まり2-5日に発現最大で8-10日で発現消失
     主に注入部位のみの発現
     ・HSV PrPUC (short term only)
       IE 4/5 promoter
     ・HSV p1005 (short term only)
       IE4/5 promoter
       CMV promoter and poly(A)で蛍光タンパク質発現
        two transcription cassettesはnose-to-tail方向
        共発現>90%
     ・HSV p1006 (short term only)
       GFP cDNAの代わりにMCSで2つ以上のタンパク質発現
   ・long term HSV
     CaMKII promoter or hEF1α promoter
     (200µL 2e9 / 80µL 5e9 infectious units/mL)
     7-28日で逆行性に感染して長期的(>3ヶ月)に発現
     注入部位にはほとんど発現しない
 ◆構造
   ゲノム全長150Kbpで80種類以上の遺伝子をコード
   成熟粒子は100-150 nmの大きなウイルス
   宿主の細胞膜を自身のエンベロープとして保有
    内側にテグメントタンパク質
    更に内側にウイルスDNAを包むカプシド
 ◆潜伏感染
   エンベロープを宿主細胞膜と融合 (fusion)させて細胞に侵入
   細胞内でtegumentとnucleocapsidを放出
   感染局所の粘膜上皮細胞で増殖し、そこを支配する神経終末に感染
    神経内を逆行輸送され、三叉神経節や仙髄神経節まで感染
     潜伏感染時はウイルスDNAやタンパク質は合成されない
      LATという抗アポトーシス作用を持つとされる転写産物だけが発現
       (latency associated transcript)
     免疫抑制・紫外線照射・感冒・月経・ストレスなどで再活性化
      神経内を順行輸送されて再び局所に病態を引き起こす
 ◆症状
   初感染したHSVは不顕性感染のこともあるが後に神経節に潜伏感染
    免疫低下時や免疫抑制剤などの投薬時に再活性化
     水疱、びらんや局所の痛み
   再発性が高く、同じ場所に病巣が再発することが多い
   ・ヘルペス瘭疽(ひょうそ)
     手指などに単純疱疹が多発し相当な痛みを伴う
   ・ヘルペス後神経痛
     頻発した感染部位を中心に広範囲な神経痛(痛み、痺れ、疼痛)
   ・単純疱疹
     皮膚に生じる感染症
 ◆診断
   ・Tzanck試験
     水疱を採取してトリパンブルー溶液やギムザ染色で染色
      感染で膨化した巨細胞(ballooning-cell)が観察できる
 ◆臨床
  ・アシクロビル
    神経節内で潜伏感染しているウイルスは増殖してないので無効
  ・イドクスウリジン (IDU) 点眼(角膜への感染)
  ・再発抑制療法
    アシクロビルやバラシクロビルの毎日の服用を一年ほど持続
     再発性ヘルペスウイルス感染者に有効とされる
  ・ビダラビン
  ・ファムシクロビル
  ・ML-7
 ◆宿主域が広く多くの細胞に感染
 ・分裂・非分裂細胞に感染
 ・外来性遺伝子を搭載できる許容量が大きい
 ・神経細胞内でエピゾームとして安定に存在し、プロモーターによっては長期発現を持続可能


2013/12/17 masashi tanaka

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