[THAM: tris(hydroxymethyl)aminomethane; TRIS]
トロメタモール(Trometamol)。
トリスヒドロキシメチルアミノメタン。
緩衝剤の一。
【特徴】
◆pKa
温度依存性が高い(1℃上昇でpH0.028減少)
10倍希釈ごとにpHは0.03〜0.05ほど減少
0.1MでpKa8.76(0度)8.20(20度)8.06(25度)7.72(37度)
◆比較的安価
◆反応性
一級アミンがタンパク質と反応して様々な生化学反応を阻害
哺乳類細胞に対する毒性
代替物質としてはHEPESを用いる
【分類】
◆1M Tris-HCl (pH8.0)エチジウムブロマイド溶液
・Tris 121.1 g(pH10.5程度)
・HCl 40 ml(温度上昇)
・蒸留水 800 ml(スターラーで攪拌しながら溶解)
・HClでpH8.0に調製
・1000 mlに調製(オートクレーブ)
◆TE緩衝液
DNAやRNAの実験で使われる基本的な緩衝液
・Tris/Tris-HCl 10 mM(脱プロトン化で沈殿を防ぐ)
伝統的にRNA用にはpHを7.5、DNA用には8.0
(ヌクレアーゼ活性が最低になると言われるが分からない)
・EDTA 1mM(2価陽イオンのキレートでヌクレアーゼ活性防ぐ)
◆TAE緩衝液
アガロースゲル電気泳動で核酸分離に用いる
・Tris/Tris-acetate 40mM
(50倍ストック溶液でpH8.3のものがしばしば用いられる)
(発熱を抑える目的で0.5倍濃度で使用することも)
安価だが緩衝能低く長時間泳動では陽極側のpHが酸性になることも
DNAはTBEに比べて1割ほど速く泳動される
長いDNA断片の分離能が良くサザン・ブロッティングで効果
・EDTA 1mM
◆TBE緩衝液
アガロースゲル電気泳動で核酸分離に用いる
・Tris/Tris-borate 89mM
(pHは8.3のものが多い)
TAEに比べ緩衝能が高く分離が良い
・EDTA 2mM
◆Tris-Buffered Saline(TBS: トリス緩衝生理食塩水)
PBSが使えないときに用いる
・Tris/Tris-HCl 10mM
・NaCl 150mM
2011/12/19 masashi tanaka