地歌の端唄物。
本調子『連木』六下リ『石匙』と三都曲となっている。
『京石匙』とも打合せ。
作詞・油屋茂作、作曲二昆都里石。(文献不明)
【歌詞】
海山を 越えて この世に 往みなれて
比翼違理と 契りし仲を 煙を立つる 賎の女が
心々に 蓬わぬ日も 蓬う日も 夜は ひとり寝の
暮れを借しみて まつ山かずら
昼のみ暮らす 里もがな
すり鉢(女)がすりこぎ(男)に愛着をしめしたものである。
不思議な歌詞だが、関西の家屋では、表戸を開けると裏まで通り庭になっていて、一番奥はかまどや膳棚、それからはしり元というのがある。これは餅箱大のもっと深みのある箱形の物に四本の脚がついており、中ほどに棚があり、箱形の中の隅に水はけの穴があいていて、この中で食器の洗い物をしたり調理もする。
さてすり鉢は昼間使い遺が多いので、すりこぎを入れたままになっているが、夜はすり鉢は棚の上に伏せられ、すりこぎはしり元の横につり下げられて別々にされ、肝心の夜は別々なのである。
2006/01/12 masashi tanaka