青柳
? 作曲
? 作詞
関連概念 : 地歌 三味線組歌

野川流の三味線組歌。三味線組歌裏組。
石川勾当作曲『青柳』は、これと区別して『新青柳』と呼ばれる。

【歌詞】

  [前弾]
   さてもそなたの立ち姿 春の青柳
   イヨ糸ザ桜 見ればン心が たよたよと

   文も遣りたし 便宜(びんぎ)もしたや
   面影に立つその面影を 忘られもせで 身に添ひそぞろに
   浮かれ来て イヨうきゃうこつや
   正体なしや 憂きや 恋の止まらぬ イヨただとにかくに恨めしや
   枕にかかる乱れ髪 いとど心の乱れ乱れて 遣瀬なや
   よしやその身は 何と何となろぞ 女気ぞ

   縁なき思ひに 身は呆(ほ)れて イヨ身は呆(ほ)れて
   朝顔の花の露より脆き身を
   もちてさのみに 心な尽くさせそ イヨ尽くさせそ

   十七八は砂山の躑躅(つつじ)
   ン寝入ろとすれど、揺りイヨユ揺り起こさるる

   曇り鏡が 我が身は イヨ思ひ廻せば
   磨ぎ(とぎ)欲しや 磨ぎ欲しや とぎ欲しや

   明日は殿御(とのご)の砧打ち 明日は殿御の砧打ち
   御方姫御(おかたひめご)も出てうたへ
   砧踊りは面白や 砧踊りを一踊り

「たよたよと」:なよなよと
「心な尽くさせそ」:心配させるな
「うきゃうこつや」:軽率なことよ
「磨ぎ」:「伽」に掛けて、添い寝する人を表している
「出てうたへ」:「歌う」意味と「打つ」意味とをかける。
「砧踊り」:歌舞伎踊歌か。

青柳(あおやぎ)

  [前弾]

一 さてもそなたの、立(たち)ス姿(すがた)、春(はる)の青柳(あおやぎ)、イヨ糸(いと)ザ桜(さくら)、
  見(み)ればン心(こころ)が、たよたよと。

二 文(ふみ)も遣(や)りたし、便宜(びんぎ)もしたや、面影(おもかげ)に立(た)つ、その面影(おもかげ)を、
  忘(わす)られもせで、身(み)に添(そ)ひそぞろに、浮(う)かれ来(き)て、
  イヨうきゃうこつや、正体(しようだい)なしや、憂(う)きや、恋(こい)のとまらぬ、
  イヨただとにかくに、恨(うら)めしや。

  枕(まくら)にかかる、乱(みだ)れ髪(がみ)、いとど心(こころ)の、乱(みだ)れ乱(みだ)れて、遣瀬(やるせ)なや、
  よしやその身(み)は、何(なに)と何(なに)となろぞ、女気(おんなぎ)ぞ。

三 縁(えん)なき思(おも)ひに、身(み)は呆(ほ)れて、イヨ身(み)は呆(ほ)れて、朝顔(あさがお)の、
  花(はな)の露(つゆ)より、脆(もろ)き身(み)を、もちてさのみに、心(こころ)な尽(つ)くさせそ、
  イヨ尽(つ)くさせそ。

四 十七八(じゆうしちはち)は砂山(すなやま)の躑躅(つつじ)、ン寝入(ねい)ろとすれど、
  揺(ゆ)りイヨユ揺(ゆ)り起(おこ)さるる。

五 曇(くも)り鏡(かがみ)が、我(われ)が身(み)は、イヨ思(おも)ひ廻(まわ)せば、磨(と)ぎ欲(ほ)しや、
  とぎ欲(ほ)しや、とぎ欲(ほ)しや。

六 明日(あす)は殿御(とのご)の、砧打(きぬたう)ち、明日(あす)は殿御(とのご)の、砧打(きぬたう)ち、御方姫御(おかたひめご)も、
  出(で)てうたへ、砧踊(きぬたおど)りは、面白(おもしろ)や、砧踊(きぬたおど)りを、一踊(ひとおど)り。

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[調弦]
本調子

[作曲]
柳川検校?


2008/05/29 masashi tanaka

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