キンカチョウ(59-200d)の歌唱時のHVC 450神経のシングルユニットを解析したところ、595 bursts(384 PNs; 5 birds)は歌モチーフの位相に対して一様分布に近かったため、HVCの活動がGTE(gesture trajectory extrema)に高まるとするGTE model(Amador et al., 2013)を支持できず、continuous time model(Fee and Goldberg, 2011; Glaze&Troyer, 2007; Hahnloser et al., 2002; Leonardo and Fee,
2005; Long and Fee, 2008; Long et al., 2010)がより妥当だとした。
ただし、HVC-XとHVC介在神経は、シラブルを繰り返すjuvenileに見られるような周期的発火(Okubo et al.,2015; Tchernichovski et al.,2001)を~10Hzで示した。
類似の結果が同時掲載された(Picardo,Long,2016)。
【結果】
◆PN burstは一様分布に近い
・burstの定義
平均発火率>10Hzかつ、スパイクが>50%のmotifで生じる
burst timeはaverage of the time
・burst coverage patchはmotifの96%(MED in 5 birds)
spikeを5ms windowに変換(duration of postsynaptic effect)
(Garst-Orozco,Olveczky,2014)
3 renditions of songsでoverlapしてればcoverageと定義
一様分布のモンテカルロ法とほぼ一致
1 birdでややずれたが、多重比較を考慮すると有意でない
・IBI(inter-burst-interval)がポワソン分布に近い
・Ripley's Lからも一様分布に近い
1匹の鳥ではクラスターあった
・いずれもGTE modelによるシミュレーション結果とは大きく異なる
本論文では、独自にGTE modelを構築
extremaは、Amadorの方法の他にBoariの方法(Boari,Mindlin,2015)
Amadorの方法だとGTE頻度が少なくなった
Boariの方法だとGTEが高頻度になった
バーストをGTEの近傍にガウス分布(SD=8ms: Amador et al.,2013)
・GTE, syllable onset, offsetのいずれとも相関は見られず
・pitch goodnessとの相関が見られた
>750HzのハーモニックでのHVC-X発火率は非ハーモニックより高い
<750HzのハーモニックでのHVC-X発火率は非ハーモニックより低い
<750Hzハーモニックはシラブルの後半で生起しやすかった
(前半の2.47倍)この効果の可能性
・それ以外のspectral featuresとの相関はなかった
(Wiener entropy, amplitude, amplitude modulation,
frequency modulation, and gravity center)
◆HVC介在神経の活動のminimaもGTEと相関ない
・interneuron activity(65 cells; 4 birds)
歌と一致して発火率の増減
・発火率minima(26±5 /motif)
PN burstと有意な相関なし
むしろPN burstsとの正の相関
HVC-Xとともに発火率が増大した(time lag=4ms)
HVC-RAとの関連は複雑(記録が少ないバイアスかも)
GTE, syllable onset, offsetのいずれとも相関は見られず
PN burstも同様
・HVC-Xと同様、pitch goodnessとの相関が見られた
<750Hzのハーモニック音での発火率低い
◆HVC-XとHVC介在神経の10Hz程度の周期的発火
・PN burstは緩やかなシラブル前半選択性(premotor機能を示唆)
HVC-Xで後半の1.5倍、HVC-RAで後半の1.24倍
歌の28-29ms前に発火率が最大
バーストの発火率もシラブルonset前後でoffset前後より高い
(307vs256Hz)
・interneuron発火率もシラブルonset選択性
syllable onsetの18ms前で発火率増大
offsetの23ms前で発火率減少
GTE onsetの23ms前で発火率の有意な増大
・HVC-Xとinterneuronは10Hzの発火率パワーが強い
歌の振幅の周波数も概ね10Hz
歌の振幅とのcross-spectral densityとcoherenceも10Hzで高い
・juvenileのHVC活動と類似(116 neurons; 20 birds: 43-54d)
juvenileではHVC-X,HVC-RA,HVC介在神経ともにonset選択性
歌の振幅とのcross-spectral densityとcoherenceも10Hzで高い
2016/05/30 masashi tanaka
2016/05/31 masashi tanaka