従来の逆畳み込み法では放出後の非線形相互作用の影響を排除できなかったが、シナプス間隙で遅れて生じるグルタミン酸の掃除を非線形電流としてモデルに組み込むことで、非静的fluctuation分析の改良版も用い、ラットのcalyx of HeldのmEPSCの量を推測した。
【結果】
◆脱感作の影響は大きい
mEPSCsの振幅は長いシナプス活動によって顕著に減少した
AMPA受容体の脱感作による(CTZによって効果が消えた)
◆mEPSCの定量化
・CTZ
AMPA受容体の脱感作を阻害
・キヌレン酸(Kyn)
AMPA受容体飽和を阻害し、大電流による電位固定法のエラーを最小化
・非静的ノイズ解析 nonstationary noise analysis
(Haller,1998; Silver,1998; Oleskevich,2000)
CTZ,Kyn投与後もmEPSCは同じ(変動分析 Variance analysis)
・AMPA受容体サブユニットがflop spliceした変異を後シナプス主要細胞に発現
強力な脱感作(τ=1ms: Geiger,1995)
◆グルタミン酸clearanceのモデルを逆畳み込み法に組み込む
(β: 重み付け定数, Cr(t): residual[glu], n: gluチャネル活性化指数)
(residual[glu]は過去の放出に依存; c(t): 単純拡散kernel(Crank,1975))
(rD: 拡散距離, D: 拡散係数)
(nD: シナプス間隙の形状によって可変)
nD=0.0 透過性のない平坦な壁が無限に続く場合
nD=0.5 障壁などがない開かれた半無限の空間の場合
nD>0.5 glu uptake機構などによってresidual[glu]の減衰が速い場合
nD,rD,D,β,nを変動させて実際の実験データと適合するようにした
しかし、nが1以外だと、電流は放出の非線形関数となり逆畳み込みできない
(EPSC)
(従来の方式のEPSC)
(I(t): EPSC‚ ξ(t): 放出率‚ hF(t): mEPSC)
(h: amplitude; F(t): time function)
(単指数減衰するmEPSCで逆畳み込み Cohen,1981)
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シナプス伝達・エクソサイトーシス・deconvolution・ノイズ解析
2008/08/21 masashi tanaka
2008/08/21 masashi tanaka